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2001 season 実体験レポート

新人スタッフ 柏木佑 研修レポート
「マルコのアオスタスーパースキー」(前編)
2001年1月7日〜14日
ISCスタッフ /柏木 佑

[ 目 次 ]
「アオスタスーパースキー」とは何だ?
第1日目 マルコとの出会いから「ピーラ」での絶景に出会うまで
第1日目 いよいよ「ピーラ」で、アオスタのスキー場初滑りへ
第1日目 ランチで陽気に! だが、その後すぐに急斜面が待っていた。
第2日目 マルコもお気に入り!パノラマ絶景「ラ・トゥイール」へ
第2日目 まずは仏側「ラ・ロジエーレ」へ。初国境越えと3年降りの新雪に。
第2日目 またまた陽気なランチタイム。しかも素敵な出会いが?!
第2日目 マルコのすごさをまたまた発見!


 
「アオスタスーパースキー」とは何だ?

 「アオスタスーパースキー」。「ドロミテスーパースキー」と似ているが、それとは違って、現地では通用しないネーミングである。何故なら、アオスタスーパースキーは、イタリアスキークラブが名付け親だから。

 北イタリアには、たくさんのスキー場が点在する。その代表するスキーの宝庫、アオスタエリアとドロミテエリア。どちらもそれぞれ違った特長をもつ。しかし、ある一エリアを基準にいろいろなスキー場を一気に満喫できることは共通している。ならば、アオスタにもスーパースキーがあったていいじゃないかと、ドロミテスーパースキーに因んだネーミングをしちゃった訳である。

  現地では通用しないものの、日本のスキーヤー、イタリアスキー、海外スキーファンの中ではすっかり定着している。しかし、他のどこにもない、イタリアスキークラブだけのオリジナルプランだ。

  北イタリアにある小さな中世のローマともいえるアオスタの街に滞在しながら、アオスタ州を代表する5つのスキー場、ピーラ、ラ・トゥイール、チェルヴィニア、クールマイユール、そしてモンテローザを一気に制覇してしまうのだ。 スキー三昧はもちろん、アオスタの街に滞在するので、アフタースキーには、観光、ショッピング、歴史散策だって楽しめちゃう。 イタリアの魅力をまるごと詰め込んだ、そんなプランが「アオスタスーパースキー」だ。

  我がイタリアスキークラブのオリジナルプランであるならば、新人だろうと、スタッフである私が未体験というわけには行かない!ってなことで、1月7日発のアオスタスーパースキー8日間コースに、研修として同行させていただくことになった。

 
第1日目 1月8日(月)ピーラ(PILA)スキー場
 マルコとの出会いから「ピーラ」での絶景に出会うまで

 さぁ、いよいよ今日から、イタリアスキークラブのオリジナルコースである「アオスタスーパースキー」の始まりである。5日間で5つのスキー場を滑るなんて、なんと盛り沢山なんでしょう。しかも、毎日ガイド付き!そこが、何といっても心強く、安心を与えてくれる事である。それにしても、ガイドのマルコってどんな人だろう? 期待と不安が混ざる中、ホテルでマルコを待った。

 8時半頃ついにマルコ登場! ん?外見はいったって普通。陽気そうでもないし、大丈夫かなぁ? 実は、マルコが来る前にホテルの人にどんな人かとリサーチしてみた。みんな口をそろえて「彼は時間に正確だし、親切な男性だよ。」と。時間に正確?イタリア人のイメージとはちょっと違うかな。とにかくこれから6日間(帰りの空港送迎まで)、どうぞよろしくお願いします。

  さっそく、ツアー参加者のみなさんとマルコの車に乗り込む。初日はまず、アオスタの町から一番近いスキー場ピーラへ。ホテルから麓のゴンドラ乗場までなら車で5分程だが、マルコはゴンドラを一本あがったところまでいつも車で行くのが好きらしい。風でゴンドラが止まったりするのが嫌いだそうだ。なんとも堅実な人だ。そんな訳で40分程、いろは坂のような坂道を登り到着。周りにはレジデンスが結構建っていた。

 最初に短いリフトに乗り、次のGORRAZ GRANDO GRIMODのテレキャビンに乗り継ぐ。さらにもう一本リフトに乗りピーラの頂上付近へ。
するとまぁ、なんと、これまたすごい景色だわ。ドロミテエリアでも“絶景だ!”というものを見てきた(実は、このアオスタ研修の前には、馬場平之助のイタリアスキー探索隊に同行しドロミテ研修を終えたばかりだった)が、アオスタのスキー場もスゴイ! ドロミテとはまた違った絶景! というのは、どの山を見渡しても白一色! すごいぞ、全部雪で覆われている。普通なら所々岩肌が見えるのに。これも私にとって初めて目にする景色だった。

 言葉で説明するのは難しいので、まだ目にしていない方には、是非、是非、実際に見ていただきたい。いろんな場所を知らないからそう思うのだろう?という方もいるかもしれないが、それでも、“辺り一面真っ白な雪景色に囲まれた、そんな中に自分がいる”なんて最高じゃないですかぁ。

 北にモンテビアンコ(モンブラン)、東にモンテ・チェルヴィーノ(マッターホルン)、そして南を見れば、あの有名な国立公園グラン・パラディーゾまでもが見渡せるのですよ(この日は南側が霧に覆われていた為、見えなかったのだが)。スキーには斜面のバラエティも大切だけど、こういった景色も絶対に欠かせません。スキーそのものの面白さとそれが重なりあってこそ、スキーの本当の爽快感が味わえるというものです。
  今年はヨーロッパ各地で雪不足と言われている中、ここにはこんなに雪が積もっている。なんとも幸運なんだろう。
ピーラから見るモンテビアンコ
(柏木撮影)

 
第1日目 いよいよ「ピーラ」で、アオスタのスキー場初滑りへ

 マルコの説明によると、ピーラはアオスタスーパースキーのスキー場の中ではそれほど大規模なものではないが、ヘリスキーもあるし、オフピステも豊富で斜面もバラエティに富んでるとのこと。大きくないがさまざまな側面を持ったスキー場といったところか。さっそく滑ろう!と言いたいところでしたが、これらの景色にしばし見とれてしまっていた。天気は快晴ではないものの、太陽が顔を出してくれているので、気持ちがいい天候であった。 と、前置きが長くなってしまったがようやく滑降開始。まずは今まで絶景を眺めていたPIATTA DE GREVON(標高2752m)からスタート。オフピステもあるのだが、まずは圧雪されたところを滑っていく。

  今回のメンバーは自分を含め7名の小グループ。そのうち相沢やす子さん(仙台から参加してくださったご夫婦の奥様)と升水美智子さんは、景色を撮りたいとカメラマンに徹し、スキーを脱いで別行動。なので、実際スキーを滑るのは紅一点の杉山まどかさん、それから相沢博さん(ご主人)と、海保和志さん、佐藤理さんと自分を含めた男性陣プラスガイドのマルコとなったのである。

 ピーラのコースは、ひとつの斜面でも圧雪されているところとオフピステになっているところがあるので好きな方を滑れる。ちなみに圧雪されているところは迂回路のようになっている。まずは圧雪されているコースを滑って行ったが、なるほどいい感触だ、雪質もいいし滑りやすい。こういう雪が自分をうまくなった気にさせてしまうのだ。こんな姿をビデオでは見たくないなぁ、いい気になっているのがもろに出るんだろうなぁ。距離もそれほど長すぎず短すぎず適度だ。2km位だったかな。  下まで滑ると今度はNOUVAのリフトに乗りそこからまた滑る。こちらは今までの周りに何もないオープンな景色と違い、若干森林コース風。それほど難しい斜面ではない。 午前中はそんなところで終了。
ピーラにて。
写真はマルコ(赤)、
杉山さん(白)、佐藤さん(黄)

 
第1日目 ランチで陽気に!だが、その後すぐに急斜面が待っていた。

 腹ごしらえを、と車の止めてある場所まで戻り、駐車場前のカフェレストランに入る。「Cafe’brasserie du petit coin」という黄色い壁の小屋だ。アオスタ初日ということでアオスタ州特産料理、モチェッタやサラミ、ラードなどをを食べることに。ここでのヒットはラードだろう。ラード、要は豚の脂身のハムなのだが、これが旨かった。ついつい夢中になりパクパク食べてしまった。横には赤ワインもあるし気分がいい。ポレンタ(とうもろこしのマッシュポテトといったところ)もなかなかいける。普段私はポレンタを好んでは食べないのだが、ここのは美味し。かった。味付けが工夫してあるといった感じだ。

  ここで写真チームとスキーチームが合流し、みんなそろって食事。徐々に打ち解けていく気がした。私は、たいてい初めての人の前では、どんな人柄かわかるまでは緊張してしまう質なのだが、うまい食事にうまいワイン…徐々にほぐれていく自分がわかった。そしてマルコもちょっと赤いぞ。

 2時間ぐらい食事をとり、再び出発となるのだが、それにしても楽しいものだ。食事の時間はみんなでわいわいやって、そして滑る。なんとも贅沢だ。

 午後は、西側の午前中に行っていない方面を滑ることに。車が止めてある地点よりもちょっと下がったピーラのインフォメーションなどがある辺りのリフトに乗る。 こちらのコースは割とこじんまりとしていて広い感じはしないんだなぁ、なんて思って滑っていると・・・出てきました、すごい斜面が!200mもあるかないか位の距離なのだが、ちょっとかなりの急斜面である。斜度30度以上あるのではないか?!しかもアイスバーンだ!前を滑っている海保さんが転倒。板が外れてるではないか。(後でわかったことだが、このとき海保さんのスキーとブーツはサイズがあっていなかった為だった。海保さん曰く「頼んだ店に文句言わなきゃな!でも、そんなの自分で確認しないのが悪いとか言われるかな...」だそうです。)そんなのを見た私はちょっと気合を入れ直して滑り降りた。フーっ、何とか無事であった。

 落ち着いたところで、ふと思ったのだが、気のせいか午後になってマルコは陽気になっている。でも、まぁそれが普通だよな。相変わらず面倒見がいいし、一見物静かだが話しやすい。

 ピーラは、そこの難関を除けば、あとは中級コースが主といったところだ。初日のスキー場としては悪くないし、滑り応えもある。コンパクトだがいいスキー場だと思う。

 スキーの後はアオスタの旧市街をしばし観光。こじんまりとしているが適度にライトアップされていて風情がある。シャヌー広場の市庁舎のライトアップなども見て、思わずシャッターを押してしまった。イタリアでは夕方に散歩に出る習慣があるらしく町は人で賑わっていた。マルコも案内をしてくれたが明日に備えて6時位で別れた。なにしろマルコは、この前日に別の仕事で空港までロシア人グループを迎えに行ったが、飛行機が遅れてしまい、彼らをスキー場まで送り家に戻って寝れたのが午前3時と言っていたのですから、今日はしっかり休んでもらわなくちゃね。
アオスタ:シャヌー広場の市庁舎


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